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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

などと人数の中から喚いたが、所詮、敵いそうもなく見えたので、何とか言いくるめて通ろうと、執こく懸合っていた。

そのうちに、山木方の兵が、

「あの中に、北条家の郎党も交じっておるぞ。日ごと、山を捜すと称して歩いている北条の郎党が、暴軍の中に交じって、われらを阻むとは、怪しからぬ沙汰だ」

と、騒ぎだした。

よくよく目を注ぐと、北条家の者ばかりでなく、土肥実平の家来、仁田の縁類、宇佐美、加藤、天野なんどの家僕や、伊豆の土豪の次男三男などの顔が幾つもその中に見出された。

「よし。かく企んでの事ならば、こちらも考えがある。退いては、山木一族の名折れ、目代の威厳にもさわる、斬り死にするまでも懸れ。ふみ潰して押通れ」

遂に、交渉を見限って、味方を抑えていた山木勢の年老った侍どもも、こう叫ぶしかなくなった時、高原の彼方から一群れの僧兵が、何か、手を打振って大声あげながら駈けて来た。

箱根権現の別当行実と、それに続いてくる十名ほどの法師武者だった。

三

別当行実は、僧兵に囲まれて、両軍の間に立つと、こういった。

「何故の争いかしらぬが、箱根、伊豆の両権現の地域の近くで、みだりに兵をうごかすにおいては、われらとても、黙視しているわけに参らぬ。