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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

けれど、ここで察するに難くない事は、まだ何事か知れないが、密使の齎した重大な問題に対して、時政も同意を示したということである。

その重大な計画に対しては、頼朝の志と、時政の考えとが、少しも喰い違わないで、合致していたということは、杯のあいだに語らっている相互の容子でも見て取れる。

頼朝には、時政がそんな考えでいたのも意外であったが、もっと案外だったのは、政子と自分との関係も、山木家へ婚約した初めの頃から、時政の胸には、

(断っても断れない二人)

なる事を、認めていたらしい事であった。

それを承知しながら、なぜ山木判官へむすめをやる約束をしたかは――時政自身は何をも云わないが――

(彼から求められた以上、彼を拒んで頼朝に嫁がせては、六波羅からも近国からも、北条家の意志として怪しまれよう。恋ならばどんな盲目なことも敢えてやって退けるものと、人もゆるし、世も疑うまい。飽くまで、盲目な恋がなせる業としてでなければ、二人を結ばせる方法はない)

と、考えを極めていたらしいのである。つまり最初から結果を見越して、ただその「方法」として、政子を山木家へ輿入れさせたと思われる口吻があった。