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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

「もうだめだ。これまで」

と、絶叫すると、腹を切って、最期をいそいでしまった。

峰の背を、実平と共に、逃げのびてゆく頼朝の眼には、遠く、其処彼処で、こうした末路を告げてゆく味方の分散が見えたであろう。

「あの峰だ」

「いや、渓間へ駈けた」

執念ぶかく追いかけて来た敵の大庭景親の兵は、頼朝が、どう晦まそうとしても、においを嗅ぎ知って、狙け纏って来た。

「おウーいッ。味方の衆、この山にはいない。それがしの手勢で探し尽した。向うの山だ。彼方の谷や峰ふところが怪しいぞ」

平家方の一将、梶原平三景時は、どういう思惑があってだろうか、頼朝の潜んだ木暗がりを見届けながら、岩上に立って味方のほうへ大声あげながら手を振っていた。

船出

一

「こよいも、……赤い?」

政子は、夜空を見つめていた。――ここから幾里もない石橋山、椙山の方の空を。

雲に映る戦火よりも、彼女の眸に燃えるものの方が、むしろ炎に似ていた。

「どうなされて? ……」

と、父を思う。兄を思う。――頼朝の身をひしと気遣う。

先頃の暴風雨の晩には、一夜中、この尼院の仏前に坐ったままで、戦勝を祷っていた。

あらゆる人手を頼んで軍の様子を見せにやってある。