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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

すぐお引返し遊ばされますように」

強って諫めたが、

「前へ行く道のみがどうして危ういと云うか。後ろへ退く道が必ず安全とどうして云えるか。そう考えるのは、まだ平常に囚われておる其方の観念だけのものだろう」

頼朝は笑って肯かない。

ぜひなく、彼も供に加わり、かくなる上は、とその由を、安房へ報じて、北条時政やその他の人々へ、

(途中で待つ。急いでご参加あれ)

と、云い遣った。

時政以下の者は、安房を引払って、追いついて来た。総勢ここに三百余人となった。――もう忍びの旅行とはゆかない。公然たる源氏の出動だった。安房に上陸して以来、初めて「軍」としての歩みを開始したものだった。

武器、武装、元より安全ではない。三百の小勢は、まったく心もとない人数にちがいなかった。

しかし、頼朝が肯かないので仕方がなかった。時政も晴れない顔であった。この時ばかりは、彼の老練な思慮も用をなさず、ただ頼朝の強情と若さに引っぱられて、ぜひなく歩いているといった姿であった。

――ところが。

前に千葉介の所へ使いに行った藤九郎盛長が、下総から帰る途中、頼朝の出動を聞いて、これへ尋ねあてて来た。