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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁
土地の郡司や村の長など、一かたまりになって迎えに出ていた。頼朝は馬上から一瞥を与え、
「亀ヶ谷とはどこか」
と、いきなり訊ねた。
北条、千葉、土肥、その他の諸将も、そんな地名を聞くのは今初めてだったから、ふと不審な顔をした。
「遠くではござりませぬ。ならばご案内いたしましょうか」
「そうだ……ともあれその、亀ヶ谷まで参りたい。先に立て」
そこは侘しい稲田と松並木の南にあった。扇ヶ谷、泉ヶ谷などと呼ぶ山間の湿地と同じだった。頼朝は甚だ自分の想像と違っていたらしい面持で、
「あ。狭いなあ!」
駒を降りるなり、傍らの北条時政、土肥次郎、千葉常胤などを顧みて、いかにも惜しそうに云った。
「お狭いとは……。ご陣地のことで?」
「いや何。わしはこの亀ヶ谷へ、わしの居館を建てようかと、道々も、その殿楼や門造りなど、頭に図を描いて来たのじゃ。……が、来てみれば、案外の狭さに、失望したのだ」
「お住いの地相をお選びなれば、この広い鎌倉中、御意のままでございましょうに」
「いやいや。亀ヶ谷には、亡父義朝が在世の頃、しばし住んでいたと聞いておる。それ故に、住まばここと思うたまでよ……。