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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

「実平、実平」

呼ぶと、次の間で、

「はっ」

答えがした。そして最前の土肥次郎のすがたが、縁の端にうずくまって見えた。

「弟を、どこぞ一室へ案内してつかわせ。――そして、何かと鎌倉までは、面倒を見てやってくれい」

「畏まりました」

実平も、次の間で、貰い泣きしていたとみえて、すこし瞼が腫れていた。――その眼で義経を招きながら、無言のまま、紙燭をかかげて先に立って行った。

六

鎌倉の秋は色濃くなっていた。

頼朝は、師をかえし、十月二十三日に、鎌倉へ帰った。

こんどの富士川は――戦わざる凱旋であった。

が、石橋山以来の論功行賞が初めて発表された。

北条時政父子。

何といっても、功労では、この人の筆頭であることに、誰も異存はなかった。

次いで、

千葉介常胤、武田一族。

和田、三浦、土肥などの人々。

佐々木定綱、経高、盛綱、高綱。

などの兄弟や、同じように、配所に長年仕えてきた天野遠景、加藤次景廉など、ほとんど洩れなく、新しい領地をうけ、或いは本領安堵、その他の恩賞にあずかった。

四日措いて、その月の二十七日には、ふたたび常陸へ軍をすすめた。

常陸の佐竹一族を討ちに。