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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

彼は、自分には難しいと思う部門には、旧勢力のなかからでも、人材を抜いて、重用した。

しかし、彼の信念は、

「野性を失ってはならない。新鮮とか、革新とかいうものは、健全な野性のもつ生活力だから。――と云って、反省も洗練も持たない野性では、義仲のようなものになるし――余りに野性を失えばまた、平家になってしまう」

その中庸に彼の理想はあった。――だから彼は、軍務、警察をかねた侍所などには和田義盛といったような、もっとも剛骨な武人を別当として、

「まず、武士から先に、庶民への模範を、その実生活で示すように」

と、云いわたした。

頼朝は、武士たちへ、武士道を求めた。それを誇り磨きあうように仕向けた。

一面にまた、

「いかに民心を得るか」

を、大江広元にたえず諮った。

だが彼は、この創業期において、大きな見のがしをただ一つしていた。――それは彼自ら東国の一方に拠っていたせいもあろうが、歴史の極りない転変と地上の変貌のみを思って、この国土が、いかに乱に遭っても、いつか帰一し、いかに紊れても、たちまち不滅の体にかえるか――それを政治の力に過信しすぎたことである。

だから、やがて彼の創めた体制は、大いに士風や民心を一時革めて、いわゆる幕府政治としての新味も出し、鎌倉文化なるものをも生みだしたが、その以後、北条、足利などの先例