輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁
女院の召使たちは、時の大問題が、眼のあたりに移って来たので、物々しげに囁き合ったり、彼女の当てがわれている監禁の一棟を覗き見に来たり、
「おお、嬰児の泣き声がする」
「あれが、義朝殿とのあいだに生した子か」
などと聞き耳を欹てた。
それよりも。
女院をはじめ、侍く女官たちは、べつな意味で、ほっと心を安めた。というのは、陰に陽に、六波羅の詮議や威嚇がここにも及んでいたからである。常磐さえ自首すれば、それで疑いの目も解かれるからであった。
「ようぞ、しやった」
と鳥羽蔵は、その働きを女官から賞めそやされた。この事件に就ての、彼の懸命さはたいへんなものであった。人知れず大和路から、常磐母子を京都へ連れ帰ってくるだけでも、並たいていな気苦労ではなかったろうに、ここへ着いてからでも、
「見張りを厳しゅう頼むぞ。刃物など持っていたら、騙して取上げておいてくれ」
などと寝食も忘れた眼いろして、やがて常磐を一室に監禁して、これでよしと見定めると、
「六波羅へ行ってくる」
と、御所の者に云い残し、気負い込んで出て行った。
それは二月十四日の黄昏で、その夜は六波羅問罪所で、ひと晩、彼自身が源氏の端くれでもあるので、取調べをうけたり口書を取られていたものとみえ、九条へは帰って来なかった。