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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《源頼朝(みなもとよりとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 頁

青空文庫

駿馬の快足をほこって、野戦や山岳戦には自信のある源軍も、水上の戦には、ほとんど訓練もないし兵船も持たない。

「いかにして、屋島を?」

彼は、一ノ谷を陥す前から、平家の水軍と、その本営を繞る地形を察して、人知れず苦念していた。

一ノ谷から潰走した大半の敵は、彼の予想どおり、多くは船で水路を逃げのび、屋島附近へ集合している。

しかも、九州をひかえ、中国に接し、日一日、その勢力は増強するに極まっていた。

鵯越えの岩頭から眼の下の敵へかけ下りるまえに、

――もし生あらば。

と、彼が次の作戦のため、吉次にいいつけておいた船の準備も、あの男の事である、もう手配もついて難波の淀の口に、舳をならべて待ちぬいているであろう。

それやこれ。

彼の胸はせわしかったが、鎌倉の指令は、いっこうに急でなく、朝臣のうちにはまた、政治的なうごきが再燃しだした。

源氏に生虜られて都へ帰った平重衡に手紙を書かせて、屋島の宗盛の許へ、

「源氏と和議を講ぜよ」

と、云い送ってあるというようなうわさも聞えた。

とこうするうち、半年の余、むなしく過ぎてしまった。義経は、むなしい日々をどうする事もできなかった。