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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁

青空文庫

それから私は、整列している一同に、いった。

「いよいよ、この島を引きあげるときが来た。考えてみると、よくも、あれだけの困難と不自由とをしのいで、海国日本の男らしく、生きてきたものだ。

一人一人の、力はよわい。ちえもたりない。しかし、一人一人のま心としんけんな努力とを、十六集めた一かたまりは、ほんとに強い、はかり知れない底力のあるものだった。それでわれらは、この島で、りっぱに、ほがらかに、ただの一日もいやな思いをしないで、おたがいの生活が、少しでも進歩し、少しでもよくなるように、心がけてくらすことができたのだ。

私たちはこの島で、はじめて、しんけんに、じぶんでじぶんをきたえることができた。そして心をみがき、その心の力が、どんなに強いものであるかを、はっきり知ることができた。十六人が、ほんとうに一つになった心の強さのまえには、不安もしんぱいもなかった。たべるものも、飲むものも、自然がわけてくれた。アザラシも、鳥も、雲も、星も、友だちとなって、やさしくなぐさめてくれた。これも、みんなの心がけがりっぱで、勇ましく、そしてやさしかったからだ。私は心から諸君に感謝する。