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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁

青空文庫

砂山などをつくらずに、高いやぐらを組みたてればいいことは、わかっている。しかしそれには、長い太い木材が、少くも三本はほしい。だが、その木材がないのだ。

島は、いちばん高いところでも、海面上、四メートルぐらいである。あとは二メートルぐらいで、うっかりすると、波をかぶりそうなくらいひくい島であるから、遠くが見えない。それで、島じゅうで、いちばん高い、西の海岸の草地へ砂を運んで、砂山をつくり、見はらしがきくようにするのである。これは、われら十六人が、島からぬけ出して、日本に帰ることが、できるか、できないかの大問題であるから、全員は、熱心に砂山つくりの大工事にかかった。

砂山つくりは、石油缶、木のバケツ、かんづめの木箱、帆布と索とでつくったもっこ、これらに、シャベルで砂をいれては、高いところへ運んだのだ。

ところがこれは、たいへんなことであった。というのは、蒸溜水をやめて、しおからい、石灰分の多い井戸水ばかりを飲み出してから、十六人とも、おなかのぐあいがわるくなっていたのだ。ひどい下痢をおこして、まるで、赤痢にかかったようになってしまった。薬はなんにもないのだ。