Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Read 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 244,473 characters · 487 screens

Aozora Bunko

「どうしてって、なにを、――」

「あらいやだ、わかってらっしゃるくせに」

かよは嬌めかしく含み笑いをし、大胆に媚びた身振りを示した。

「あなたにこうと頼まれれば、どんな事だってかよには拒むことはできませんわ、それもまだなんにもないうちならべつでしょうけれど、山内の和幸であんなふうにお肌に触れたあとですもの」

「ばかな、なにをそんな」

万三郎は吃驚して叫んだ。

「そんな、肌を触れたなどということが」

「あら、嘘だと仰しゃるの、あんなふうにかよを抱いて、骨が折れそうなほどきつくきつく抱いて」

「よしてくれ、やめろ」

「はい、やめますわ」

かよはまた含み笑いをした。

「わたくしなんでも万三郎さまの仰しゃるままよ、つなさんを出せと仰しゃれば、どんな無理をしたってお出し致しましたわ、そのくらいのことわかって下さいませんでしたの」

「云うことはそれだけか」

休之助が云った。

「それだけならそこを退いてもらおう」

「さあどうぞ、万三郎さま」

かよは万三郎に向って一揖した。休之助にはもちろん、他の誰にも眼は向けなかった。そうして石黒半兵衛がなにか抗議しようとするのを見ると、手を振って云った。