Japanese reading practice

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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Read 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 244,473 characters · 487 screens

Aozora Bunko

蕨めし

一

おちづは永代寺門前町の裏河岸を歩いていた。

姐さんの松吉が「船宇」という船宿へ出ているが、洲崎の「升屋」という料理茶屋から座敷がかかって来たので、いま着替えを持って知らせにゆくところであった。

堀の水も牡丹色に染まっていた。

暮れがたのならいで、河岸の道には子供たちが集まって騒いでいた。一日の終りを惜しむように、がやがや駆けまわったり、幼い唄をうたったり、喚きあったりしていた。

「あたしもこんなふうに遊んだんだわね」

おちづはふと呟いた。

母や弟が生きていた頃の、自分の姿が眼にうかぶようであった。そして、遠い風の音のように、自分たちがよくうたった、毬唄の文句が記憶のなかからよみがえってきた。

――向う山で鳴く鳥は

ちいちい鳥か みい鳥か

源三郎のみやげ

なにをかにを もらって

金ざし釵もらって、――

暗くなってゆく街裏の草原に立って、ぼんやり空を眺めているような、侘しい自分の姿が思いだされ、ものかなしく、そしてなつかしい気分にひたされた。

そんな気分になっていたので、気がつかなかったのだろう、「おうれ」という驚きの声を聞いて、ひょいと見ると、すぐ前に二人の男が立っていた。