Japanese reading practice

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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Read 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 244,473 characters · 487 screens

Aozora Bunko

二

拾い屋姿のときに発見されて、女の眼のするどさに懲りている。こんどもすぐ気づかれるのではないかと思うと、早速もう腋の下に汗が出てきた。なるべく眼につかないように、頭を下げてすれ違おうとしたが、そのとき「大めし」の店の中から、下男の虎造が首を出して喚いた。

「おい炭屋のあにい、寄ってゆかねえのか」

二

――しまった。

万三郎は笠の下で眼をあげた。

「寄ってゆけよ炭屋」

虎造がまたどなった。

かよはこっちを見た。すると虎造も彼女をみつけ、へらへら笑いながら、なにか話しかけるつもりらしく、店の中から表へ出て来た。いよいよ困ったと思ったが、それが幸いになったのである。

「へへへ、江戸のお嬢さん」

虎造がそう云うより先に、かよは脇へ向いて、返辞もしずにさっさとそこを通り過ぎていった。虎造は舌打ちをしたが、万三郎はほっと太息をつき、店の軒下へ荷をおろした。

「いまのは虎さんの知合いかね」

「屋敷へ来ている客よ」

「長い滞在かえ」

「なに来たばかりだが、――おらあおめえのことを待ってたんだぜ」

二人は店の中へ入り、飯台に並んで腰を掛けた。午飯の時刻は過ぎたので、ほかには客はなかった。