Japanese reading practice

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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Read 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 244,473 characters · 487 screens

Aozora Bunko

六

顔にはなんの変化もないが、膝の上にある手は少しもおちつかず、絶えまなしに、指を絡み合せたり解いたりしていた。

「男の方ってみんな同じよ」

かよは効果を慥かめて云った。

「きれいにしらをきっているけど、心の中ではいつも好色なことばかり考えているものだわ、身近に女がいれば、小間使いだろうと下女だろうと、お構いなしに手を出すのよ」

「やめてちょうだい、そんなこと聞きたくありません」

「あら、万三郎さまのことも」

「――なんですって」

「万三郎さまのことも、聞きたくないと仰しゃるの」

六

つなの声はふるえた。

「あの方がどうしたというんです、あなたはまだ見たことのない人まで嘘を云うんですか」

「見たことがないですって、あらいやだ、あたし万三郎さまとは幾たびも会っているし、お話もしたし、それから――」

かよは唆るように笑った。

「二人っきりの部屋でお酒もいっしょに飲んだし、手も握った……」

つなはそっぽを向いたが、

「それから、――云ってしまってもいいかしら」

とかよがまた喉で笑うと、がまんを切らして振返り、怒りの眉をあげながら云った。

「よくそんな出まかせが云えるのね、あの方が本当に江戸へいらっしゃったかどうか、いらっしゃったとすればどこでなにをなすっているか、あなたはなにも知ってはいないじゃないの」