Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Read 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 244,473 characters · 487 screens
紅雀
一
一
「やい待てちび」
いせいのいい声でどなりながら、七八人の少年たちが追って来て、こっちが吃驚しているうちに追いぬき、前へまわって立ち塞がった。
みんな竹や木の棒切れを持っていた。年は十二三から大きいのは十五くらいにもなるらしい。こっちは人一倍躯が小さいので、すっかりなめているようだった。
深川の冬木河岸で、堀に沿った道には往来の人もなく貝殻まじりの乾いた道が、明るく秋の日をあびていた。
「てめえどこの島のもんだ」
いちばん大きい少年が、持っている棒をゆらゆらさせながら、凄んだ顔でつめ寄った。
「流れついたお精霊さまの茄子みてえな面をしやあがって、いってえどこから迷いこんで来やがったんだ、どこのもんだ」
「うるせえや」
こちらは平然とやり返した。
「おれが誰だか知りたけりゃあいって聞いてみろ、こっちは銀座から向うは芝、麻布、品川は大木戸まで、金杉の半次といえば知らねえものはありゃしねえ」
「この野郎なまあ云うな」
「知らねえものはありゃしねえ、おらあ金杉の半次ってえもんだ、それがどうした」
彼はまっ黒な顔を反らせ、大きな眼で相手を見まわしながら、さもいさましく喚いた。