Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,082 characters · 257 screens

Aozora Bunko

電気事業の発達は、雷鳴や夕立を非常に少なくしたことは、敢て故老を俟つまでもなく、誰でも一応は知って居ります。

その雷鳴や夕立は、どんなに一般人の恐怖と尊崇の的であったか、宝井其角が「三囲」の発句を詠んで、夕立を降らせたという伝説が、真面目に信ぜられた時代の人達の心持は、今の人には想像もつかぬものがあった筈です。

蚊帳と線香と桑原の呪文で表象される迷信的な江戸っ子が、大雷鳴、大夕立の真っ最中に、冒涜的な言動、――わけても人殺しなどという、大それたことをやりそうもないことは、容易に想像され得ることで、此処で起った大雷鳴の真っ最中の犯罪が、どんな意味を持つかと言うことは、此事件の重大な鍵の一つになるのです。

八五郎が踊り舞台の女の喧嘩の話を、面白可笑しく続けて居るうちに、大夕立も漸く霽れて、九月十四日の夕陽が、西窓から美しく射し込んで来ました。

「あれ、八五郎さん、まだお帰りじゃないでしょうね、今お燗が付いたばかりですのに」

モゾ/\と腰をあげかける八五郎に、お静は声を掛けました。

「ヘェ、一杯御馳走して下さるんですか」

「不思議そうな顔をするなよ、俺のところだって年中粉煙草ばかりが御馳走じゃない――明日は年に一度の明神様のお祭だ」