Japanese reading practice

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,082 characters · 257 screens

Aozora Bunko

四

そう言われるうちに、お静は手早く仕度を整えるのでした。年に一度も夫と一緒に外へ出ることの無いお静には、こんな機会さえ、嬉しくてたまらない様子です。

四

「お夏さん、飛んだ人騒がせじゃないか、此処に居ると気が付かなきゃ、江戸中を捜し廻るところさ」

浜町の路地の裏、仕立物などをして、細々と暮しているお静の母親の家の一と間に、平次はこう佐渡屋の掛り人のお夏に相対しました。

「済みません。あの家へ入ると、私は本当に殺されるような気がしたんです。殺されないまでも、石原の子分衆に、縄を打たれて恥かしい思いをしたことでしょう」

「誰がいったいお夏さんの命を狙って居るのだ」

「それがわからないから逃げたんです」

「では訊くが、お前が、佐渡屋の先代の隠し子だということは、誰と誰が知って居るんだ」

「皆んな薄々は知って居ります。亡くなった内儀さんと、お絹さん、お信さんの外は」

「すると、佐渡屋の家督を狙う者の仕業ということになるが――」

「?」

「品吉をどう思う――あの男に怪しい素振は無いのか」

「飛んでもない親分さん、広い江戸中にも、あんな良い人はありません」

お夏は敢然として顔を振りあげるのでした。