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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,082 characters · 257 screens

Aozora Bunko

四

「次は伊八というやくざ、二十七、八の好い男で、身軽で気が強くて、箸にも棒にもかからねえ曲者だそうですよ、その次は坊主還りで宗玄という四十男、エガ栗頭の大入道で、恐ろしい髯武者だが、不断は深い笠を冠って居るから、容易に人相は見せない――これで四人でしょう」

「あとの一人は」

「それが大変で、――お源という、二十四、五の年増女ですよ、黒雲五人男と一口に言うが、本当は黒雲四人男と一人女で」

「――」

「この女は悧口で愛嬌があって、色っぽくて、手が早くて、噛みつかれると命が危いから、蝮のお源というんだそうですよ、大友瀬左衛門も早川水右衛門もこの女には一目も二目も置く」

八五郎の説明は、それで大方尽きました。

「有難う。大きに助かるよ、それだけ素性と人相がわかれば、黒雲五人男だって、呑気に江戸の往来を歩いちゃ居られまい」

「それじゃ親分」

「あれ、もう帰るのか、八」

「ヘッ、あっしが居ないと、あの娘が淋しがりますよ」

「勝手にしやがれ」

八五郎はイソ/\と帰って行きました。が平次に対する、黒雲五人男の挑戦は、これをきっかけに恐ろしい勢いで始められることになったのです。

四

それから五日の間に、黒雲五人男は二ヶ所に押入り、一人を傷けて一人を殺し、夥しいものを盗りましたが、場所がかけ離れて居るので、平次も出しゃ張るわけに行かず、そのまま