Japanese reading practice

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,082 characters · 257 screens

Aozora Bunko

【第二回】

一

「そいつは手掛りだ、一寸平野屋まで行って見よう」

「あっしも」

「待ちなよ、お前には用事がある」

平次は八五郎の耳へ、何やら囁きました。

「成る程そいつは良い考えだ」

八五郎は話を半分聴いて飛んで行きます。

「師匠、折角此処へ来たんだ、お袋と仲直りをした上、暫く手伝って、仏様の始末をして行くがいい、あのままじゃ通夜もなるめえ」

平次は隣の部屋の死体を痛々しく振り返るのでした。

「私もその積りで参りました、おっ母さんさえ承知して下されば」

お組はいそ/\と立上りました。生前の深酷な恋敵、ツイ先刻掴み合いの喧嘩までした仲ですが、生死境を隔てると、昔の昔の、幼な友達のお組とお園になるのでしょう。血に塗れた死骸の側に膝をついて、ツイ涙に暮れるお組を見極めると、平次はもう次の活動の舞台へ踏出して居りました。

【第二回】

一

「あれは?」

夕明りの中にしょんぼり立っている十七、八の娘、町の一角を、ほの/″\と明るくしたような、それは言うに言われぬ可憐な姿でした。

「お園の内弟子で、お菊という娘ですよ、ちょいと良いでしょう親分」

八五郎は小戻りして教えてくれます。こと苟くも、若い娘の噂に関する限り、見過しも聞き過しも出来ないのが此の男の性分でした。