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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,082 characters · 257 screens
【第二回】
一
八五郎の不作法な冗談が、不思議な讖をなして、佐渡屋にかかる呪いは、これがほんの発端だったのです。
【第二回】
一
四十何人の者を、無差別に大川の水に陥ち込ませようとした、恐ろしい曲者、その思いやりの無い、鬼畜の残虐性が、ひどく平次の怒りをかき立てたのです。
「死んだのは小僧一人に芸子一人だ、曲者が狙ったのは、まさかそんな相手じゃあるめえ、此処でその手を封じて置かなきゃ、此の先何をやり出すかわからない畜生だ」
平次が日頃になく躍起となったのは、この先また、無差別な犠牲者を出すことを恐れたのです。
「で、見当でも付いたんですか、親分」
八五郎は袂の中の捕縄をまさぐりながら、声を掛けさえすれば、真っすぐに飛込みそうにして居ります。
「一向見当がつかないから癪じゃないか、恐ろしい相手だ」
「どんなことをやらかしゃいいんで?」
「お前はあの時桟敷の上に居た人間に逢って、一人一人、自分の隣に誰が坐って居たか、それを聴いてくれ。前と後ろと、右と左と念入に訊ねて、ざっと絵図を揃えて見るんだ。一人で手が廻らなかったら、手伝いに来て居る下っ引を二、三人狩り出すがいい」
「それをどうするんです」