Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,082 characters · 257 screens
引締ったクリーム色の肌、美しい生え際、大きい眼は見開いて居りますが、それは極めて無心な死の苦悩の無いもので、ほのかに開いた唇から、真珠色の白い歯の見えるのも、妙な艶めかしさを感じさせるのです。
胸は少しはだけて、乳のふくらみはほの見えるのも、踏みはだけたらしい股に、血潮に染んで大きい掌の跡らしいものの残るのも、下手人の性格を暗示して居るようで歪んだ姿態と共に、平次の注意をひきつけます。
「師匠が一人で居たのか」
あれほどの殺しを――いかに大夕立の中と言っても、隣の部屋の者が知らない筈はありません。
「大変な見幕でした、あんまり怖いので、お弟子さん方も帰ってしまい、私もお隣の菓子屋さんへ行って、夕立の止むまで無駄話をして居りました。外の雷鳴より、内の雷鳴の方が怖かったんです」
母親のお槇は言うのです、口辺に漂う苦笑を、あわてて掻き消して、精一杯の真剣な顔になるのは、かなりの見物でした。
お園の美しさと、その激しいヒステリーの発作のことは、平次も聴かないではありませんが、小唄の師匠のお組と掴み合いの喧嘩をした後の凄じい発作は、恐らく因業で聞えた母親さえも、三舎を避ける外は無かったのでしょう。