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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,082 characters · 257 screens
「お菊は何んか知って居たに違いないよ、昨日の夕方、此家の入口で俺と逢った時、何んか言いかけて急に口を緘んでしまったじゃないか」
「すると、この娘を殺したのは、お園を殺した人間の仕業ですね」
「先ず、そうきめて間違いはあるまいよ」
平次の胸の中には、次第に下手人の仮想図が、はっきり浮んで来る様子です。
「ところで、親分、お菊を絞めた手拭は、投げ節の小三郎の持物とわかりましたよ」
「その小三郎が昨夜家へ帰った時刻を調べるんだ、大急ぎで頼むぜ」
「ヘェ」
八五郎は飛んで行くと、平次は其辺に居る者一人一人をつかまえて、昨夜のお通夜の模様を念入に調べ始めました。
「半通夜で、お経が済んで、一とわたりお酒が出て、亥刻(十時)過ぎには、皆様に引取って頂きました。残ったのは私と内弟子のお菊と、遠い親類の者が二、三人だけ」
お園の母親のお槇が説明するのです。
「小三郎は?」
「何んか御用があるとかで、そわ/\して居りましたが、亥刻少し前――皆様より一と足先に帰ったようでございます」
「その小三郎の側にすわって居たのは、誰と誰だったか、覚えているだろうな」
「若旦那の金之助さんと、それからお組さんの間に挟まって居りました」