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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,082 characters · 257 screens
「此処に客のあるのを承知でか」
「後で聞いたんです、姉さんは、私を子供扱いにして、酒の席なんかには寄せつけませんよ」
縞物を短かく着て、何処か大店の小僧とも見える美少年米吉は、平次の問うままに、蟠りもなく答えます。
「ところで、昨夜の芸子は何処から呼んだ、湯島か、芳町か、それとも――」
「仲町ですよ、少し遠いけれど、泊めてやりゃいいと、御新造様の知合いの家の芸者衆で、何んでも巴家とか言いましたが――」
お友の記憶は甚だ覚束ないものでした。
「どんな妓達だ」
「綺麗な芸子さん達でしたよ、一人は芸達者で、一人はそりゃお人形のようで」
お友は眼を細くします。
平次と八五郎は、そんな事で切上げて、本郷の通りへ出ました。
「親分、カラクリはわかりましたか」
八五郎はキナ臭い鼻をして見せます。
「いや、少しも見当はつかない、最初から二本の徳利に毒が入って居るから、吾妻屋永左衛門は、大井久我之助と一緒に死ぬ気でやったことになるが、そんな馬鹿なことがある筈は無い。矢張り最初は二本のうち一本には毒が入って居なかったのだ、それを、何処で摺り換えたか、誰が毒を入れたか」
平次もそれ以上のことはわからない様子です。