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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,082 characters · 257 screens
親分にお目にかかって、良い知恵を拝借し度いと思って居りました」
阿波屋三郎兵衛は、面目次第もない首を垂れるのです。我儘一杯に育った一人娘が、思春期の爆発的な狂態は、親の意見もさして役には立たなかったのでしょう。
「それは困ったことで、――兎も角、あっしが逢ってみましょう」
平次は娘に逢って、手代宗次郎を殺して、三千両の金を奪った、色小姓の正体を突きとめる気になって居りました。
「では」
三郎兵衛の案内で、平次は娘の部屋へ通されましたが、それは世にも可愛らしく、艶めかしい六畳で、床に就いて居る我儘娘を看護って居たらしい母親のお仲は、平次の顔を見ると、静かに立って隣の部屋に外し、行灯を中にして相対したのは、あわてて床の上に起直った、娘のお由利の取乱した姿と、銭形平次の冷たい顔だけになってしまいました。
「お嬢さん、あのお小姓は、男姿にはなって居るが、実は女と判りましたよ」
「え?」
銭形平次の言葉は、無言戦術のお由利にも、恐ろしい衝撃を与えました。
「あれは黒雲五人男の内の一人で、お源という、名題の毒婦とわかりましたよ。女が女を思い詰めて、どうするのですお嬢さん、恥かしいとは思いませんか」