Japanese reading practice

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,082 characters · 257 screens

Aozora Bunko

「もうそんな時刻ですかね、道理で腹加減が昼近いと思いましたが――」

「あんな野郎だ、昼飯の催促をしたって、今日はろくな干物もねえよ、ところであの娘はどうしたえ、首尾よく住みつきそうか」

「貰った猫の子のようですね、――喉を鳴らして、コロ/\して居ますよ」

「それは好いあんべえだ」

「すっかり叔母の気に入っちゃってね、無口で気が付いて、食は細いが、よく手伝ってくれるし、こんな嫁を貰ったら、さぞ――なんて」

「恐ろしく気を廻すんだね」

「それほど気に入ったのに、叔母はあのきりょうのことを、一と言も言わないのは剛情じゃありませんか、女のヒネたのは若い女のきりょうのことを言うと、見識に拘わると思って居るんですね、嫁なんてものは、顔があっても無くても仔細はないと――」

「顔の無い人間なんてのは無いよ」

「あの叔母なんてえ代物は、それ位のことを考えて居ますよ、――ところで、それほど叔母によくする娘が、あっしの姿を見ると、そっと滑るように逃げ出すのはどうしたことでしょう」

「お前という人間が怖いのさ」

「あっしはそんな怖い顔をして居ますかね親分」

「袖でも引かれたらどうしようと思って居るんだろう」