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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Read 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 244,473 characters · 487 screens
「しかし似てはいるでしょう」
「なんにですか」
「もちろん薺にですよ」
「わたくしをからかっていらっしゃるのね」
つなは怒ってそっぽを向いた。
万三郎は狼狽し、決してからかうつもりなどはない、自分は本当になにも知らないのだ、ということを弁明しようとした。
だがつなは耳もかさなかった。
「どうもふしぎだ、私にはまったくわけがわからない」
万三郎は首を振りながら、
「休さんも貴女もどうしてそんなに怒っているのです、あの晩からこっち、二人とも私にはろくに口もきかないし、話しかけても満足に返辞もしてくれない、――これはいったいどういうわけなんです」
「どうぞそんな大きな声をなさらないで下さい」
つなは冷やかに云った。
「わたくし聾ではございませんから」
「では云って下さい、なぜです」
万三郎はそうたたみかけた。
二
万三郎は辛抱を切らしていた。
――今日こそは聞くぞ。
と決心したのであった。
古木邸からつなを救い出したあと、四人はそのまま結城を去って、休之助の用意した加波山麓の隠れ家へ来た。
それから約三十日も経つが、休之助とつなはずっと万三郎に冷淡な態度を示していた。彼がいまつなに云ったとおり、二人とも彼とはあまり口をきかない。