Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Read 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 244,473 characters · 487 screens

Aozora Bunko

「でもそんな理由なんて本当にないのですから、ただふとそんな気がしたまでのことなんですから」

「じゃあ私でもいいんですね」

「それは、もちろん、――」

「もちろんどうなんです」

休之助はにやにやしながら聞いていた。弟のいやに昂然とした態度が、子供じみていて可笑しかったのである。しかし、つなが本当に困っているようすなので、

「いいかげんにしないか、三郎」

と苦笑しながらとめた。

「なにも理由がないと云っているのに、そんなに拘るやつがあるか、それより本当におまえがゆくのなら、あの女に用心しなければいけないぞ」

「休さんまでがそんなことを」

「事実だからいうんだ」

と休之助は遮って云った。

「自分でもそう云っていたが、あの女にはなにか妙にするどい勘がある、おまえがどこへいっても、必ずそこへついてゆくと云った」

「ばかな、みんな偶然ですよ」

と万三郎は唇を歪めた。

三

「いや偶然だけじゃない」

と休之助は主張した。

「偶然ということもあるだろうが、それ以外になにかふしぎな勘をもっている、たとえば、千人の群衆の中に紛れこんでいても、そこに三郎がいれば必ずみつけ出すといったような」

「おどかすのはよして下さい」