Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Read 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 244,473 characters · 487 screens
万三郎が悪いのではない、かよがわざとそうしたのである。自分にみせつけるために、ことさらみだらがましい姿態をしてみせたのだ、ということはわかっていた。
だが、二人の不謹慎な姿は、つなの眼に焼き付いていた。たとえそれが作られたものであったにしても、つなの眼に焼き付けられた、その不謹慎な姿を消すことはできないし、それを赦すこともできないのであった。
「なんのお話かわかりませんけれど、そんな処に立っていないでおあがりになったらどう、べつに取って食いはしませんことよ」
「知っていらっしゃるのね」
つなはあがろうとはしなかった。
「なんのことでしょう」
かよは冷やかな眼になった。
「もちろん万三郎さまのことよ」
「――万三郎さまですって」
「どこにいらっしゃるの」
つなはしんけんな顔つきで、じっとかよを睨みながら云った。それを見て、かよも坐り直した。
「どこにって、――それはつなさんのほうが知っていらっしゃるでしょう、万三郎さまはあの明くる日、此処を出ていらしったままお帰りになりませんわ」
「それで、そんなにおちついていらっしゃれるの」
「おちついてって、――」
「出ていらしったまま十二日も音沙汰がないのに、少しも案じているようすはないし、平気で笑うことさえできるではありませんか、それはあなたが万三郎さまのいどころを知っているからでしょ