Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Read 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 244,473 characters · 487 screens

Aozora Bunko

みてえな」

「よして、よしてよ半ちゃん」

おちづは激しく遮った。

「あんたあたしをそんな人間だと思ってるの、あんたが紀州へいったあと、自分が置いてきぼりにされたのも忘れて、ただあんたに逢いたい、あんたが辛い思いや、危ないめにあっていやしないかどうか、それだけで気違いみたいになって、夢中であとを追っかけていった気持を、あんたわかっちゃあくれないのね」

「そんなこたあわかってるよ」

半次はつっけんどんに云った。

「今のおめえの気持ならわかってるんだ、おめえはまだちい公だし、ひとの納屋で寝た匂いが躯に付いてる、――けれども芸妓になって、客に騒がれるようになれば」

「じゃあ、半ちゃんはあたしが、芸妓になるのが不承知なのね」

半次は黙っていた。

「そうなんでしょ、半ちゃん」

「知らねえさ、そんなこと」

「そうなんだわ、芸妓になるのがいやなんだわ」

おちづはぎゅっと唇を噛んだ。それから、半次がまだ子供であり、自分のしんじつな気持など、理解させるのは無理なのだ、ということを認めた。

――そうだわ、半ちゃんはまだやんちゃ坊主なんだわ。

こう思うことは、おちづにかなりな満足感を与えた。