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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Read 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 244,473 characters · 487 screens
兵馬は微笑しながら頷いた。
「いい話だ、甲野さんが怒るのは当然だし、ちょっと誰にもできないことでしょう、――なるほど、そうだとすると、それは石黒剣士かもしれませんね」
「だってそのほかに、あれだけ腕が立って、しかも助勢に出るような人間はないんですからね」
万三郎はこう云って、ふと暗い部屋の一隅へ眼をやった。
「――石黒半兵衛」
と兵馬は低い声で云った。
「――事実そのとおりだとすると、今夜だけではない、彼はまた現われますね」
「また現われる、というと、――」
「彼は三郎さんから眼を放さないんですよ、貴方の情けが身にしみたんでしょう、きっといつも蔭から貴方を見張っていて、貴方を護っているに違いないと思う」
「――そうでしょうかね」
万三郎はまた溜息をついた。
「私はそうであってもらいたくないんだが」
「彼はきっと甲府へも来ますよ」
と兵馬が云った。
「私はそう信じますね、――甲府へもきっと来るに違いないと」
ながれる雲
一
その翌日、――
休之助、万三郎の兄弟と、中谷兵馬、太田嘉助らの四人が、甲府へ向って立っていった。
「どうかおいらもゆかしておくんなさい」
半次は泣いて頼んだ。