Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
五
作はそんなに醜い男ではなかったが、いじけて育ったのと、発育盛を劇しい労働に苦使われて営養が不十分であったので、皮膚の色沢が悪く、青春期に達しても、ばさばさしたような目に潤いがなかった。主人に吩咐かって、雨降りに学校へ迎えに行ったり、宵に遊びほうけて、何時までも近所に姿のみえないおりなどは、遠くまで捜しにいったりして、負ったり抱いたりして来たお島の、手足や髪の見ちがえるほど美しく肉づき伸びて行くのが物希しくふと彼の目に映った。たっぷりしたその髪を島田に結って、なまめかしい八つ口から、むっちりした肱を見せながら、襷がけで働いているお島の姿が、長いあいだ彼の心を苦しめて来た、彼女に対する淡い嫉妬をさえ、吸取るように拭ってしまった。それまで彼は歴々とした生みの親のある、家の後取娘として、何かにつけておとらから衒らかす様に、隔てをおかれるお島を、詛わしくも思っていた。
五
お島が作を一層嫌って、侮蔑するようになったのもその頃からであった。
蒸暑い夏の或真夜中に、お島はそこらを開放して、蚊帳のなかで寝苦しい体を持余していたことがあった。酸っぱいような蚊の唸声が夢現のような彼女のいらいらしい心を責苛むように耳についた。