Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
七十九
東京に住つけた彼の目には、久しく見なかった惨めな父親の生活が、自分にすら厭わしく思えた。
逢いさえすれば、路費の出来そうに言っていた父親の家への同行を、お島は二度も三度も迫ってみたが、小野田は不快な顔をして、いつもそれを拒んだ。
八九年前に、効性ものの妻に死訣れてから、酒飲みの父親は日に日に生活が荒んで行った。妻の働いているうちは、どうか恁か持堪えていた家も、古くから積り積りして来ている負債の形に取られて、彼は細かな小屋のなかに、辛うじて生きていた。
到頭お島がつれられて行ったときに、彼は麦や空豆の作られた山畑の中に、熱い日に照されて土弄りをしていたが、無智な顔をして畑から出て来る汚いその姿を見たときには、お島は慄然とするほど厭であった。一緒に行った小野田に対する軽蔑の念が一時に彼女の心を凍らしてしまった。
七十九
それでお島は、小野田が自分をつれて来なかった理由が解ったような気がして、父親が本意ながるのも肯かずに、その日のうちにN――市へ引返して来たのであった。自分のこれまでがすっかり男に瞞されていたように思われて、腹立しかったが、小野田が自分達のことをどんな風に父親に話しているかと思うと、擽ったいような滑稽を感じた。