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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme

Aozora Bunko

五十八

お島の目には、ほろほろ涙が流れだして来た。

「為方がない、思断って逢いましょう」暫くしてからお島は言出した。「逢ったらどうにかなるでしょう」

二人は藤棚の蔭を離れて、畔道へ出て来た。

五十八

父親は奥へも通らず、大きい柱時計や体量器の据えつけてある上り口のところに、行儀よく居住って、お島の小さい時分から覚えている持古しの火の用心で莨をふかしていたが、お島や浜屋にしつこく言われて、漸と勝手元近い下座敷の一つへ通った。

「よくいらっしゃいましたね」お島は父親の顔を見た時から、胸が一杯になって来たが、空々しいような辞をかけて、茶をいれたり菓子を持って来たりして、何か言出しそうにしている父親の傍に、じっと坐ってなぞいなかった。

「私のことなら、そんな心配なんかして、わざわざ来て下さらなくとも可かったのに。でも折角来た序ですから、お湯にでも入って、ゆっくり遊んで行ったら可いでしょう」

「なにそうもしていられねえ。日帰りで帰るつもりでやって来たんだから」父親も落着のない顔をして、腰にさした莨入をまた取出した。

「お前の体が、たといどういうことになっていようとも、恁うやって己が来た以上は、引張って行かなくちゃならない」