Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
八十一
「どこへ行ったものだろうね」
青い火や赤い火の流れている広告塔の前に立って、しっとりした夜の空気に蘇えったとき、お島はそこに跪坐んでいる小野田を促した。
前に働いていた川西という工場のことを、小野田は心に描いていたが、前借などの始末の遣っぱなしになっている其処へは行きたくなかった。上海行を吹聴したような人の方へは、どこへも姿を見せたくなかった。
八十一
不安な一夜を、芝口の或安旅籠に過して、翌日二人は川西へ身を寄せることになるまで、お島たちは口を捜すのに、暑い東京の町を一日彷徨いていた。
最後に本郷の方を一二軒猟って、そこでも全く失望した二人が、疲れた足を休めるために、木蔭に飢えかつえた哀れな放浪者のように、湯島天神の境内へ慕い寄って来たのは、もうその日の暮方であった。
漸う日のかげりかけた境内の薄闇には、白い人の姿が、ベンチや柵のほとりに多く集っていた。葉の黄ばみかかった桜や銀杏の梢ごしに見える、蒼い空を秋らしい雲の影が動いて、目の下には薄闇い町々の建物が、長い一夏の暑熱に倦み疲れたように横わっていた。二人は仄暗い木蔭のベンチを見つけて、そこに暫く腰かけていた。