Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
七十四
小野田は優しい辞をかけて、腰のあたりを擦ってやったりした。
「私はどこか体を悪くしているね。今までこんな事はなかったんだもの。私の体が人と異っているのかしら、誰でも恁うかしら」お島は小野田に体に触らせながら、この頃になって萌しはじめて来た、自分か小野田かに生理的の欠陥があるのではないかとの疑いを、その時も小野田に訴えた。
お島は小野田に済まないような気のすることもあったが、この結婚がこんな苦しみを自分の肉体に齎そうとは想いもかけなかった。
お島は今着ているものの聯想から鶴さんの肉体のことを言出しなどして、小野田を気拙がらせていた。男の体に反抗する女の手が、小野田の火照った頬に落ちた。
兇暴なお島は、夢中で水道の護謨栓を向けて、男の復讎を防ごうとした。
七十四
小野田の怯んだところを見て、外へ飛出したお島は、何処へ往くという目当もなしに、幾箇もの町を突切って、不思議に勢いづいた機械のような足で、ぶらぶら海岸の方へと歩いて行った。
町幅のだだっ広い、単調で粗雑な長い大通りは、どこを見向いても陰鬱に闃寂していたが、その癖寒い冬の夕暮のあわただしい物音が、荒れた町の底に淀んでいた。