Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
三十九
上ってみると、二階は出ていった時、取散していったままであった。脱棄が投出してあったり、蔽いをとられたままの箪笥の上の鏡に、疲れた自分の顔が映ったりした。お島はその前に立って、物足りぬ思いに暫くぼんやりしていた。
三十九
お島は二三度階下へおりてみたけれど、鶴さんは、いつまで経っても、帳場から離れて来る様子もなかった。そのうちに表が段々静になって、夜が更けて来ると、店を片着けにかかっている物音が聞えたりして、鶴さんはやがて茶の間へ入って来た。お島は気持わるく壊れた髪を、束髪に結直して、長火鉢の傍へ来て坐ってみたりしていたが、頭脳がぴんぴん痛みだして来たので、鶴さんが二階へ上って来る時分には、彼女もいつか蒲団を引被いで寝ていた。
「お先へ失礼しましたよ。何だか気分がわるいので」お島はそう言いながら、呻吟声を立てていた。
鶴さんは床についてからも、白い細長い手を出して、今朝から見るひまもなかった新聞を、かさこそ音を立てて、彼方かえし此方返しして読んでいるらしかったが、するうちに、それを投りだして、枕につくかと思っていると、ぱちんと云う音がして、折鞄を開けて、何か取出したらしかった。