Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
三
或冬の夕暮に、放浪の旅に疲れた一人の六部が、そこへ一夜の宿を乞求めた。夜があけてから、思いがけない或幸いが、この一家を見舞うであろう由を言告げて立去った。その旅客の迹に、貴い多くの小判が、外に積んだ楮のなかから、二三日たって発見せられた。養父は大分たってから、一つはその旅客の迹を追うべく、一つは諸方の神仏に、自分の幸を感謝すべく、同じ巡礼の旅に上ったが、終にそれらしい人の姿にも出逢わなかった。左に右、養家はそれから好い事ばかりが続いた。ちょいちょい町の人達へ金を貸つけたりして、夫婦は財産の殖えるのを楽んだ。
「その六部が何者であったかな」養父は稀に門辺へ来る六部などへ、厚く報謝をするおりなどに、その頃のことを想出して、お島に語聞せたが、お島はそんな事には格別の興味もなかった。
養家へ来てからのお島は、生の親や兄弟たちと顔を合す機会は、滅多になかった。
三
然し時がたつに従って、その時の事実の真相が少しずつお島の心に沁込むようになって来た。養家の旧を聞知っている学校友達などから、ちょいちょい聞くともなし聞齧ったところによると、六部はその晩急病のために其処で落命したのであった。