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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme

Aozora Bunko

物堅そうなその主人は、大い声では物も言わないような、温順しい男であった。

山国のこの寂れた町に涼気が立って来るにつれて、西北に聳えている山の姿が、薄墨色の雲に封されているような日が続きがちであった。鬱々するような降雨の日には、お島はよく浜屋へ湯をもらいに行って、囲炉裏縁へ上り込んで、娘に東京の話をして聞かせたり、立込んで来る客の前へ出たりした。

一家の締をしている、四十六七になった、ぶよぶよ肥りの上さんと、一日小まめに体を動かしづめでいる老爺さんとが、薄暗いその囲炉裏の側に、酒のお燗番をしたり、女中の指図をしたりしていた。町の旅籠や料理屋へ肴を仕送っている魚河岸の問屋の旦那が、仕切を取りに、東京からやって来て、二日も三日も、新建の奥座敷に飲つづけていた。

精米所の主人が建ててくれたと云う、その新座敷へ、お島も時々入って見た。糸柾の檜の柱や、欄間の彫刻や、極彩色の模様画のある大きな杉戸や、黒柿の床框などの出来ばえを、上さんは自慢そうに、お島に話して聞せた。

河岸の旦那の芸づくしをやっているその部屋を、お島も物珍しそうに覗いてみた。それでも安お召などを引張った芸者や、古着か何かの友禅縮緬の衣裳を来て、斑らに白粉をぬった半玉などが、引断なしに、部屋を出たり入ったりした。