Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
小春日和の日などには、お島がよく出て見た松並木の往還にある木挽小舎の男達の姿も、いつか見えなくなって、そこから小川を一つ隔てた田圃なかにある遊廓の白いペンキ塗の二階や三階の建物を取捲いていた林の木葉も、すっかり落尽くしてしまった。
それでも浜屋の奥座敷だけには、裏町にある芸者屋から、時々裾をからげて出てゆく箱屋や芸者の姿が見られて、どこからともなく飲みに来る客が絶えなかった。お島は町を通るごとに目についていた、通りの飲食店や、町がさびれてから、どこも達磨をおくようになったと云う旅籠屋などに、働きに入ろうかとさえ思ってみることもあったが、それらのお客が皆な近在の百姓や、繭買などの小商人であることを想ってみるだけでも、身顫が出るほど厭であった。
裸になって市から帰って来ると、兄はよくお島のものを持出して、顔を知っている質屋の門などを潜ったが、それも種子が尽きて来ると、矢張女のところへ強請りに行くより外なかった。
その使に、お島も時々遣られた。峠の幾箇もある寂しい山道を、お島は独りでてくてく歩いて行った。どこへ行っても人家があった。休み茶屋や居酒屋もあった。