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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme

Aozora Bunko

六十三

六十三

客から註文のセルやネルの単衣物の仕立などを、ちょいちょい頼みに来て、伯母と親しくしていたところから、時にはお島の坐っている裁物板の側へも来て、寝そべって戯談を言合ったりしていた小野田と云う若い裁縫師と一緒に、お島が始めて自分自身の心と力を打籠めて働けるような仕事に取着こうと思い立ったのは、その頃初まった外国との戦争が、忙しいそれ等の人々の手に、色々の仕事を供給している最中であった。

自分の仕事に思うさま働いてみたい――奴隷のようなこれまでの境界に、盲動と屈従とを強いられて来た彼女の心に、そうした欲望の目覚めて来たのは、一度山から出て来て、お島をたずねてくれた浜屋の主人と別れた頃からであった。

東京へ帰ってからのお島から、時々葉書などを受取っていた浜屋の主人は、菊の花の咲く時分に、ふいと出て来てお島のところを尋ねあてて来たのであったが、二日三日逗留している間に、お島は浅草や芝居や寄席へ一緒に遊びに行ったり、上野近くに取っていたその宿へ寄って見たりした。

浜屋は近頃、以前のように帳場に坐ってばかりもいられなかった。そして鉱山の売買などに手を出していたところから、近まわりを其方こっち旅をしたりして暮していたが、東京へ来たのもそんな仕事の用事であった。