Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
六十五
「結構ですな」
小野田はそう言いながら、品物を受取って、自転車で帰っていった。
ホックづけや穴かがりが、お島には慣れてくると段々間弛っこくて為方がなくなって来た。
年の暮には、お島はそれらの仕事を請負っている小野田の傭われ先の工場で、ミシン台に坐ることを覚えていた。むずかしい将校服などにも、綺麗にミシンをかけることが出来てきた。
「訳あないや、こんなもの、男は意気地がないね」
お島はのろのろしている、仲間を笑った。
車につんで、溜池の方にある被服廠の下請をしている役所へ搬びこまれて行く、それらの納めものが、気むずかしい役員等のために非をつけられて、素直に納まらないようなことがざらにあった。
「こんなものが納まらなくちゃ為方がないじゃありませんか」
男達に代って、それらの納めものを持って行くことになったとき、お島はそう言って、ミシンが利いていないとか、服地が粗悪だとか、何だかんだといって、品物を突返そうとする役員をよく丸め込んだ。
お島のおしゃべりで、品物が何の苦もなく通過した。
六十五
お島が自分だけで、どうかしてこの商売に取着いて行きたいとの望みを抱きはじめたのは、彼女が一日工場でミシンや裁板の前などに坐って、一円二円の仕事に働くよりも、註文取や得意まわりに、頭脳を働かす方に、より以上の興味を感じだしてから