Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
「大晦日にはどんな事があってもお返しするんですがね。仕事は山ほどあって、面白いほど儲かるんですから」
お島はそう言ってそのミシンや裁板を買入れるために、小野田の差金で伯母の関係から知合いになった或る衣裳持の女から、品物で借りて漸と調えることのできた際どい金を、彼女は途中で目についた柱時計や、掛額などがほしくなると、ふと手を着けたりした。
「みんな店のためです。商売の資本になるんです」
お島は小野田に文句を言われると、悧巧ぶって応えた。
まだ自分の店に坐った経験のない小野田の目にも、そうして出来あがった店のさまが物珍しく眺められた。
「うんと働いておくれ。今にお金ができると、お前さんたちだって、私が放抛っておきやしないよ」
お島はそう言って、のろのろしている職人に声をかけたが、夜おそくまで廻っているミシンの響や、アイロンの音が、自分の腕一つで動いていると思うと、お島は限りない歓喜と矜とを感じずにはいられなかった。
劇しい仕事のなかに、朝から薄ら眠いような顔をしている乱次のない小野田の姿が、時々お島の目についた。
「ちッ、厭になっちまうね」
お島は針の手を休めて、裁板の前にうとうとと居睡をはじめている、彼の顔を眺めて呟いた。