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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme

Aozora Bunko

七十六

職人は誰にもそれが解らないのが不思議のように熱心に、「だからお客は莫迦に高いものを着せられて、職人はお店のために働くということになる。その癖洋服屋は資本が寝ますから、小い店はとても成立って行きやしませんや。これはどうしたって、お客が直接地を買って、裁縫師に仕立を頼むってことにしなくちゃ嘘です」

「ふむ」とお島は首を傾げて聴惚れていた。今まで莫迦にしていたこの男が、何か耳新しい特殊な智識を持っている悧巧者のように思えて来た。

「君は職人だから、自分の都合のいいように考えるんだけれど、実地にはそうは行かないよ」小野田は冷笑った。

「だがこの人は莫迦じゃないね。何だか今に出世をしそうだよ」

お島はそう言って、神棚から取おろした札束の中から、十円札を一枚持出すと、威勢よく表へ飛出して行った。

「おい、ちょっと己にもう一度見せろよ」小野田はそう言って、札を両手に引張りながら、物欲しそうな目をった。

「好い気になって余りぱっぱと使うなよ」

お島が方々札びらを切って、註文して来た酒や天麩羅で、男達はやがて飲はじめた。

七十六

そんな噂がいつか町内へ拡がったところから、縁起を祝うために、鈴木組と云う近所の請負師の親分の家で出た註文を、不意に受けたのが縁で、その男の引立で、家が遽に景気づいて来た。