Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
九十五
「それじゃ奥さんのが移ったのでしょう。私は一緒にならないで可かったね」
お島は可怕そうに言ったが、やっぱりこの男を肺病患者扱いにする気には成得なかった。
「あんたが肺病になれば、私が看病しますよ。肺病なんか可怕くて、どうするもんですか」
「今じゃそうも行かない。これでも山じゃ死うとしたことさえあったっけがね」
「おお厭だ」お島は思出してもぞっとするような声を出した。「そんな古いことは言っこなし。あなたは余程人が悪くなったよ」
九十五
一日の雑沓と暑熱に疲れきったような池の畔では、建聯った売店がどこも彼処も店を仕舞いかけているところであったが、それでもまだ人足は絶えなかった。水に臨んだ飲食店では、人が蓄音器に集っていたり、係のものらしい男が、粗野な調子で女達を相手に酒を飲んでいたりした。暗闇の世界に、秘密の歓楽を捜しあるいているような、猥らな女と男の姿や笑声が聞えたりした。
お島はその間を、ふらふらと寂しい夢でも見ているような心持で歩いていた。会場のイルミネーションはすっかり消えてしまって、無気味な広告塔から、蒼い火が暗に流れていたりした。
浜屋の主人が肺病になったと云うことが、ふと彼女の心に暗い影を投げているのに気がついた。