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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme

Aozora Bunko

百六

百六

小野田は時々外廻りに歩いて、あとは大抵店で裁をやっていたが、隙がありさえすれば蓄音器を弄っていた。楽遊や奈良丸の浪華節に聴惚れているかと思うと、いつかうとうと眠っているようなことが多かった。

しげしげ足を運んでくる生花の先生は、小野田が段々好いお顧客へ出入りするようになったお島に習わせるつもりで、頼んだのであったが、一度も花活の前に坐ったことのない彼女の代りに、自身二階で時々無器用な手容をして、ずんどのなかへ花を挿しているのを、お島は見かけた。

もと人の妾などをしていたと云う不幸なその女は、どうかすると二時間も三時間も遊んで帰ることがあった。上方に近い優しい口の利き方などをして、名古屋育ちの小野田とはうまが合っていた。

「私だって偶には逆様にお花も活けてみとうございますよ」

外から帰って、ふと二階の梯子をあがって行くお島の耳に、その日も午から来て話込んでいたその年増の媚めかしい笑い声が洩れ聞えた。嫉妬と挑発とが、彼女の心に発作的におこって来た。

女が帰って行くとき、お島はいきなり帳場の方から顔を出して行った。

「お気毒さまですがね、宅はお花なんか習っている隙はないんですから、今日きり私からお断りいたします」