Japanische Klassiker mit Furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme
三十六
悪阻などのために、夏中動もするとお島は店へも顔を出さず、二階に床を敷いて、一日寝て暮すような日が多かったが、気分の好い時でも、その日その日の売揚の勘定をしたり、店のものと一緒に、掛取に頭脳を使ったりするのが煩わしくなると、着飾って生家や植源へ遊びに出かけるか、昵みの多い旧の養家の居周やその得意先へ上って話こむかして、時間を銷さなければならなかった。養家では、作太郎が近所の長屋を一軒もらって、嫁と一緒に相変らず真黒になって働いていたが、お島はその方へも声をかけた。
「今度田舎の土産でもさげて、お島さんの婿さんの顔を見にいくだかな」作は帰りがけのお島に言ってにやにや笑っていた。
「まあそうやって、後生大事に働いてるが可いや。私も危く瞞されるところだったよ。養母さんたちは人がわるいからね」お島も棄白でそこを出た。
三十六
暫くぶりで、一日遊びに来た姉が、その日も朝から店をあけている鶴さんや、知りたくもない植源の嫁の噂などをして、一人で饒舌りちらして帰って行った。
お島は気骨の折れる子持の客の帰ったあとで、気憊れのした体を帳場格子にもたれて、ぼんやりしていた。