Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
お松はうっかりそれに乗せられるほどの女ではないけれど、こんな男の細工と口前が、ついつい大事を惹き起さないとも限らないから、実際は、お松も兵馬も、悪い奴に見込まれたと思わねばなりますまい。
それよりもなお危険なのは、この男がこれから、染井の化物屋敷へ行くと言ったことであります。染井の化物屋敷とは、つまり神尾主膳らの隠れ家をいうものです。神尾の許へ行くからには、どうせ碌なことでないのはわかっています。そうしてこの男が老女の家を辞して帰る時に、垣根の蔭から何か、そっと隙見をしてその途端に、
「占めた」
と言って嬉しがりはじめたのは、やっぱりその辺に何か売り込むことが出来て、それを土産に神尾へ乗り込もうという気になったのは、前後の挙動で明らかにわかります。
そうであるとすれば、その隙見は何を見たのだ。刻限から言っても、ムク犬が奥庭で、急にお君の傍を離れたことから言っても、我に返ったお君が、あわてて家の中へ隠れたのから見ても、この男は、はからずあの際、お君の姿を認めたものに違いない。そんならば確かに一大事です。甲府にいる時に、お君はたしかに神尾が一旦は思いをかけた女である、それをこの男が神尾へ売り込むとすれば、今でも神尾の好奇心を嗾るに充分であることはわかっているのであります。