Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
「どうも、あたしゃ、この暴風というやつが性に合わねえのさ。だからいったい、船は嫌いなんですがね、都合がいいもんだから、つい、うっかりと乗る気になって、こんなことになっちゃったんでさあ。困ったなあ。どうでしょう、皆さん、間違いはありゃしますまいねえ」
おどおどした声で不安を訴えるものがあると、また一方から、
「なあに、大したことがあるもんですか、どっちへ転んだって内海じゃございませんか、これだけの船が、内海で間違いなんぞあるはずのものじゃございませんよ」
存外おちついた声でそれをなだめるものもあります。
「ですけれどもねえ、内海だからといって風や波は、別段にやさしく吹いてくれるわけじゃありますまいからね。昔、日本武尊様が大風にお遭いになったのはこの辺じゃございますまいか。あの時だってあなた……あの通りの荒れでござんしょう」
情けない声をして、太古の歴史までを引合いに出してくるから、
「ふ、ふ、ふ、あの時はあの通りの荒れだったといったってお前さん、あの時の荒れを見て来たわけじゃござんすまい、第一あの時代と今日とは、船が違いまさあ、船が……」
と言った時に、その船が前後左右からミシミシミシと揉み立てられる音に、一同が鳴りを静めてしまいました。