Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
二十一
「こういう日を、駕籠のうちに、とざして行くは惜しい」
好んで馬の背にゆられてゆく老公を、宿々、誰あって、老公と知るひとはほとんどない。
べつに、一挺の塗駕籠は、小石川の邸から添えられている。馬の背に疲れたらそれへ移ればよいわけである。ところが、その塗駕籠のうちには、途中からそっと乗ったひとがある。
また、そのとき供の内へ、ふたりの者が途中から加わった。ふたりとも笠をいただいて、始終うつ向き加減に、一言も発せず、供に従って歩いているだけなので、佐々介三郎、渡辺格外のほかには、何者やらいっこう知れなかったが、水戸にはいって後、誰にも分った。
一名は人見又四郎。もうひとりは江橋林助だった。
そして、駕籠のうちの老美人は、雪乃であった。
こう三人は、老公が江戸を立つ朝、時刻をはかって、府外のさかいに待ちあわせていたのである。すでにこの世の者ではあり得なかった三人が、こうしてつつがなく、しかも同時に、老公の帰山の供に加わり得たということは、もとより自然の運命ではない。老公に助けられたものだった。老公の偉きな手のみがよく無事に救い得たといってもいい。
この急速な計らいはまた、もちろん藤井紋太夫の悔悟の実証と、夜来からの奔走を明らかに語るものだった。